多汗症にはスポーツドリンクが効く?
「多汗症の人は、スポーツドリンクを飲むと発汗が抑えられる」という説があります。
しかし実際は医学的な根拠に乏しい上、人によっては逆に悪化することもあるため注意が必要です。
「多汗症にスポーツドリンク」は迷信だった?
多汗症にスポーツドリンクが効くといわれる理由は、スポーツドリンクに塩分が含まれるからのようです。
確かにスポーツドリンクは、人間の体液の成分に近づけられていますので、いわゆる「生理食塩水」に近い塩分量となっています。
それを飲むと血中の塩分濃度が上がり、発汗を抑えられると考えられているようです。
なぜ塩分をとると発汗が抑えられるのかというと、おそらく「汗をかくと塩分が失われる」という考え方から来ているものと思われます。
多汗症の人は特に多量の汗をかくため、それだけ塩分が体外に排出されてしまい、血中塩分濃度が低い状態にあります。
ですから失われた分だけ塩分を補給することで、体内のバランスが良くなり、発汗の抑制にもつながるということのようです。
しかしこの説には、医学的な根拠はないとされています。
むしろ汗をかくこと自体に塩分が必要なため、多汗症の人がスポーツドリンクを飲みすぎると逆に発汗がうながされることもあるのです。
ちなみにスポーツドリンクは、水分を吸収する効果は高いのですが、それを体内にとどめておく効果はありません。
ですからせっかく水分補給しても、汗となって流れてしまうことは避けられないといえます。
多汗症の人の理想的な水分補給とは?
汗を引かせるための水分補給としておすすめなのは、常温の水です。
普通に考えると冷たい水のほうがいいように思えますが、冷水は胃腸を冷やしてしまうため、逆に体が体温を上げようとするのです。
また冷たい水をとると、体が緊張状態になり、交感神経が刺激されることも分かっています。
交感神経は発汗をうながす自律神経ですから、多汗症の人には逆効果です。常温の水を、なるべく少しずつ補給するようにしましょう。
他に避けたい飲み物としては、同じく交感神経を刺激するカフェイン入りのドリンクです。
コーヒーや緑茶、またコーラなどにもカフェインは含まれていますので、多汗症の人はできるだけ避けるようにしましょう。
コーヒーやお茶を飲むなら、ノンカフェインのものがおすすめです。